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なのに――。
自分は性的虐待男と婚姻関係を続けていると言う現状のまま、私に深月を託すだの、深月には幸せになって欲しいだのほざくあの母親からは、そう言う配慮が欠けているように思えてならなかった。
だから、私は彼女の言動にやたらと気持ちの悪い矛盾を感じてしまったのだ。
顔は確かに深月に似た別嬪さんだったから、母親との会合を済ませたばかりの私を不安そうな目で見上げてきた深月には、そのせいで緊張しただの何だの言って誤魔化したが、色々ハッキリしないうちは本当の意味で好意的な態度なんか取れそうにない。
深月の前じゃあ障りがありそうで、そんな本音は言えなかったし、なるべく態度には出さねぇよう気を付けたつもりだが、もう一度おふくろさんと二人きりで会って、そこら辺の話を詰めるべきだ。
そんな風に思いながら、私はどこかソワソワした様子で私を見詰めてくる深月をなだめるようにふっと相好を崩すと、再度やんわりと深月の唇を塞いだ。
「なぁ深月よ。……んな心配そうな顔をしてくれるな。そこらも含めて何とかなるよう私も頑張ってみるつもりだから。――な?」
ペアの指輪を贈ったり……そういうのもしたいが、全ては深月の憂いを徹底的に取り除いてから。
でないと、私も安心して深月との暮らしを楽しめそうにない。
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将継Side担当、鷹槻羽那。
この度、〝鷹槻れん〟に改名しました。
(というより元に戻りました)
https://estar.jp/novels/26179568/viewer?page=311
↑詳細はエッセイより。
表紙画あらすじ1ページ目等変わっています。
今後とも変わらぬご支援頂けましたら幸いです!
鷹槻れん×ちろる
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