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「相良、悪かったな。連絡すんの、遅くなっちまった」
たったのツーコールですぐに相良が電話に出たところをみると、私からの連絡を心待ちにしていた気がして、何となく申し訳ない気分になる。
面倒なことを先延ばしにしていたわけじゃないけれど、深月との幸せな時間を邪魔されたくなかったのに加えて、深月の母親が突然訪問してきたアレコレで悶々としていたら、つい相良への連絡が二の次になってしまっていた。
そのことを謝罪した私に、相良が溜め息を落として。
『まぁ、こっちの現状としちゃぁ夜お前に話した通りなんだが……。あいつ、お前んトコへ姿現したりはしてねぇよな?』
実は今日、深月を家に置いておけなかった理由のもうひとつがこれなのだ。
もちろん、仕事へ行っている間に武川が深月を搔っ攫って行ったことだってトラウマにはなっていたし、相良からあんな連絡がなくてもきっと、今みたいに職場へ同行させていただろう。
そもそもが、諸悪の根源たる深月の主治医がフリーのままだ。
だが――。
「……石矢のやつ、まだ見つかんねぇのか?」
小さく吐息交じりにつぶやいたら、相良が電話口で舌打ちしたのが分かった。
『見つけてたらお前にすぐ連絡してると思わねぇか?』
それもそうだと納得はしたものの、落胆した表情を浮かべるわけにはいかない。
事務所の中で私が渡した簿記のテキスト本と睨めっこしている深月を見詰めながらそんなことを思って。
深月には離席に際して電話番も頼んではあるが、呼び出し音が鳴ったらきっと、オロオロするだろう。
その時はすぐ事務所内に戻るつもりで外へ出てきてはいるのだが。
席を空ける際、不安そうに私を見詰めてきた深月の頭をふんわり撫でながら、「深月から見えねぇところには行かねぇって誓うから安心しろ」と告げてその言葉の通り。
私は深月の様子を事務所入り口のガラス戸越しに眺めながら、相良と話している。
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GWなので(?)スタ特をUPしました。
未読でお時間のあるの方は是非!
(本編に1スターで読めます)
https://estar.jp/extra_novels/26224820
深月Side担当:ちろる
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