65.頼りにしてる【Side:長谷川 将継】

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*** 「何か……、色々と悪かったな」  ボソリとつぶやいたら「ホント本気(マジ)で勘弁しろよ。玄関先に血まみれで倒れてるお前を見つけた時は(ときゃー)死んじまってんじゃねぇかと寿命が縮んだわ」と睨まれてしまう。  配下の者たちから、私の家から引き上げた旨の連絡を受けた相良(さがら)は、伝えたいことがあって私に電話を掛けてきたらしい。  久留米(くるめ)がこのところ職場に姿を現していないのは、どうやら有給休暇を取得してしばらく休む手配しているらしいこと。  仕事を休んで雲隠れしている久留米を(あぶ)り出すため、こちらが集めたヤツの悪事の証拠を、それとなく久留米の雇い主である院長に(ほの)めかして揺さぶりを掛けたこと。  そんな院長を通して、ヤツを職場まで(おび)き寄せる算段が整ったことなどを連絡してくれるつもりだったらしい。  当初は久留米を捕まえるためだけの計画だったはずが、予定外にヤツが私を襲って深月(みづき)を誘拐してしまった。  結果、諸々の報告が今になってしまったらしいのだが、相良は不測の事態にも関わらず当初の計画を、深月を救出するための手段として冷静に遂行(すいこう)してくれたそうだ。
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