67.勝手に動くのだけは無しだ【Side:長谷川 将継】

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「ひ、酷い目に遭わされたのは将継(まさつぐ)さんの方ですっ!」  まぁそうなるよな。  そう思いながら、私は深月(みづき)の頭をゆるゆると撫でてやる。 「忘れたのか? 私は元から〝先生〟にとっては敵認定だっただろ? だからある意味頭の怪我(これ)は当然の結果だ。けど深月は違ったはずだ。元々患者で守らないといけない対象だったはずの深月を、あの男は自分の欲望のためだけに拉致監禁したんだ。……普通に考えてそういう人間が人様の心の傷に触れるような仕事を続けてるとか……ダメだろ?」  そこで私はあえて一拍置くと、「それは引いては深月だけの問題じゃ済まないことだって分かるよな?」と真剣な顔で付け加えた。  残念ながら、深月は自分より他者が傷つくと言われた方が(こた)えるように思う。  私としては、本当は深月には〝自分自身を〟一番大切だと思って行動して欲しいのだが、まぁそう言ったところで性格的なもんなんて、一朝一夕(いっちょういっせき)に変えられるもんじゃない。  我ながら卑怯(ひきょう)な言い方だなと思ったけれど、深月を守るためになら、私はいくらでもズルイ人間になれる。 「だからな、深月。あの男から〝先生〟っちゅう立場を奪うのを許して欲しい」 -------- 本編2万スターありがとうございます! 感謝のスタ特をupしましたので、未読の方は是非♥ (本編に☆ひとつで読めます) b29b99e6-43e7-47e6-b156-c5a417203ad2 https://estar.jp/extra_novels/26250696 鷹槻(たかつき)れん×ちろる
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