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私の夕飯の時間こそ、それこそまちまちなのだ。
「申し訳ないが私はこう見えても会社を経営している身でね、結構食べる時間がバラついてんだ。そんな私に合わせるなんて言ったら、いつ飯にありつけるか分かんねぇぞ?」
「え……?」
「仕事が早く終わりゃあ十七時半には食べに出るし、逆に遅くなった日なんかは二十二時を過ぎることもある。この前深月と会った時は十九時前だったし。……ほらな? あてになんねぇと思わね?」
言いながらククッと笑った私に、深月が何故か神妙な顔をして押し黙って。
「あの……、そんな不規則な生活をしていたら、……その、た、体調を崩したりしませんか?」
ややして私の顔色をうかがうようにポツンとつぶやいた。
私は深月のその言葉に、思わず「ぶはっ」と吹き出してしまう。
「食わねぇこともあるって言ってた深月にそんな心配されるとは思わなかったわ」
なおもクククッと笑い続ける私を見て、深月が真っ赤な顔をしてうつむくから。
「――けど、気遣ってくれて有難うな」
礼を言いながら思わずいつもの調子。深月の頭をふわりと撫でたら、彼がキュッと身体を縮こまらせた。
(やべっ。何だこの反応。――すげぇ可愛いんだけど)
目の前の男が、照れる自分を見詰めてそんなことを思っているだなんて、思いもよらないんだろうな。
こんな無防備で、今までよく無事でいられたな?とふと思って。
もしかしたら先程義父とうまく行っていないと言葉を濁したのは、まさか義父からそういう目で見られたってことじゃないだろうかと下世話な妄想をしてしまう。
(まさかな)
――性的対象が男女お構いなしの私じゃあるまいし。
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