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12.いい加減自覚した?【Side:長谷川 将継】
食器を片付け終えて手を拭いて。
ひと段落付いたところでちょうど風呂が溜まったとアナウンスがあった。
我が家は日本家屋だが、一応オール電化住宅だ。
台所にいたって、スイッチ一つで湯張りが出来てしまう。
ただ、古いシステムなので風呂の栓なんかは自分で閉じなきゃいけないが、それでも昔みたいに湯温の調節を手動でしなくていいのは、随分楽ちんだ。
家を建てる時、〝咲江が快適に家事を出来るように〟をコンセプトに設計したんだが、IHクッキングヒーターに関してはガスコンロの方が火力が強くて良かったと、妻からは少し不評だった。
(ま、私は咲江ほど本格的に料理をするわけじゃないし、そんなに不便は感じてないんだけどね)
そんなことを思いつつ、私はラップとビニール袋、それからビニールテープを手に台所隣のリビングへ向かった。
***
キッチンに立つ私の背後。
咲江の席に座ってソワソワする深月を見かねて、「怪我しているキミに手伝えることはないからね?」と、リビングまで手を引いて行って、テレビの真正面へ座らせたのは十五分くらい前だっただろうか。
確か、「好きな番組でも観てて?」とリモコンも渡したはずなのだが。
「深月ぃー、風呂沸いたぞぉー?」
襖を開けて何の気なしに室内に踏み込んだら、この部屋に連れて来た時とほとんど変わらない状態のままでいる深月と目が合った。
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