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「ほら。風呂沸いたからさ、先に入っておいで?」
「え、でも……僕が一番風呂なんて……申し訳ないです」
「いや、怪我してんだし、綺麗な湯の方がいいに決まってんだろ? さぁ、グダグダ言ってねぇでさっさと立つ」
怪我してない方の手を取って無理に立たせたら、ずっと正座していたからだろう。
深月がヨロリとよろめいて、私の腕の中に飛び込んできた。
「ご、ごめん、なさぃっ」
「いや、私の方こそ急に立たせてすまなかったね」
言いながら「平気?」と彼の耳元でやんわり問い掛けたら、深月がビクッと首をすくめて耳を赤く染めるから。
(ひょっとして、この子はこの辺が弱いのかな?)
とか、不埒なことを思ってしまった。
***
片手で服を脱ぐのが難しいらしく、モタモタする深月を見かねて、「男同士なんだから平気だろ?」と押し切る形で、私は彼の脱衣を手伝った。
片手をぐるぐる巻きにされた深月にとって、一番の難所がスラックスの留め具とファスナーを下ろす作業で。
実際手を貸すにしても、一番センシティブな部分だな?と思ってしまったのは内緒だ。
こちらが下手に意識していると深月に伝われば変に恥ずかしがられて、私も余計に反応しないとも限らない。
グッと奥歯を噛みしめると、私は努めて淡々と彼の前立てを寛げてやった。
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