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13.二人の告白【Side:十六夜 深月】
ポロリと涙が落ちて、唇がブルブルと震え出し、肩がガクガクと慄くまでにそう時間はかからなかった。
(何で……?)
どうして、もう十年以上熱を持つことがなかった下腹の芯が疼くように反応しているのか自分でも全くわからなくて、怖くて。
前かがみになって震え出した僕に将継さんが慌てたように「深月?」と、また耳朶に吐息を掠めながら両肩を掴むから「ひっ……」と嗚咽のようなものがこぼれて。
「ど……しよ……ま、さつぐさ……僕……」
「深月?」
蹲って震えていると宥めるように背を擦ってくるから、裸身へ直に這わされる節高な指に背筋に快感が走って、ピッタリと張り付いたタオルの中でますます昂る自身を隠したいみたいに縮こまる。
「ど、しよ……僕……なぃ……のに……出来……ないのに、何で……どう、しよ……」
身体がこんな風に熱くなったのなんて忘れ去っていた感覚で、自分の身に何が起こっているのかがわからなくて。
「出来ないって……何が?」
背後から訝しむような将継さんの声が聴こえてきて、その間にも背中を辿る指の動きは止まらなくてゾクゾクと下腹に熱が集中する。
「僕……出来ない……出来ないんで、す……。でも、なのに……何で……?」
風呂で紅く上気した頬に涙を伝わせながら後ろを振り返ると将継さんが息を呑むのがわかって、思わずタオルの下、未熟な屹立もそのままに彼の下肢にしがみつく。
「だから出来ないって何が? ちょっと落ち着け、深月」
「……僕、い、ED……なん、です……。なのに、何で? ……怖い……こんな、の……。ど、しよ将継さ……」
えぐえぐと涙を流しながら縋り付くと「……ED? だって昨日気ぃ失ってて身体拭いてやった時もちゃんと反応してたぞ?」と、思いもよらぬ言葉が返ってきて目を瞠ってしまった。
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