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「そんな、わけ……ないです……だって、僕は……」
「いつから?」
背中をゆるゆると擦られながら訊ねられるから、呼吸が荒くなってきて、張り詰めた中心が苦しくて、こんな感覚久しぶり過ぎてどうしたらいいのかもわからなくて。
「も、十年以上前から……です。ど、しよ……こんなの……」
(最後に吐き出したのはいつだっけ?)
義父に無理矢理吐精させられて、それから拙い自慰行為を何度かしたけれど、段々僕の下腹は熱を持たなくなって、それで――。
頭がグチャグチャになってしまってパニック状態になっていると、不意に背後から腕が伸びてきて、タオルの下で主張してじくじくと脈打っている源をタオル越し、大きな掌に包み込まれる。
「――とりあえず話は後な。苦しいだろ? 出しちまえ。一人が怖いなら俺が手伝ってやるから」
(あれ……将継さん、自分のこと俺って……)
もはや混乱しているのか冷静なのかもわからない思考を巡らせたけれど、タオル越し、ゆっくり撫で擦られると「んっ……ぁ、やだぁ……」と将継さんの膝頭に顔を埋めて認めざるを得ない快感に甘えるような声を出してしまう。
「出せそうか? 深月」
「わ、かんない……ぁ、ん……怖い……どうやって、出す……のか、忘れ……ぁっ、あ……まさ、つぐさ……そんな、擦ったら……やだっ……」
ぎゅっと膝頭にしがみつくと、将継さんは解放を促すように些か性急にタオル越し、確かな意思を持って指に力を込めてくるから腰が痙攣するように震える。
「心配すんな。怖くないから出してみ?」
濡れた瞳で「ほん、とう?」と縋るように見つめると、「本当」と泡立った頭を撫でられたと同時、熱く育っている充血の先端を抉られると──。
「やっ、だ……出そ……将継さっ……怖っ……あっ、も、……やだ……っ」
ジタバタと戦慄く太腿を押さえ付けられて、耳孔に「大丈夫だから」と甘く掠れた声で唆されながら、タオル越し爪を立てられた瞬間。
「ぁっ、ん、まさつ……っ……出ちゃっ……怖ぃ……ゃ、んんっ!」
ゾワゾワとした言いようのない感覚を伴って身体の奥から込み上げるものを感じて。
快楽など感じたのか感じていないのかもわからず、頭を真っ白にしながら、どうやら僕は十数年ぶりに精を吐き出すことに成功したようだった。
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