14.いっそ天罰が下って欲しい【Side:長谷川 将継】

1/4
前へ
/380ページ
次へ

14.いっそ天罰が下って欲しい【Side:長谷川 将継】

(やべーな……)  深月(みづき)の告白を聞いて一番最初に思ったのがそれだった。 (ずっと()たなかったって……マジか)  深月はその治療のため、病院に通っているとも言っていたから嘘ではないだろう。  子供にとって、大人は絶対的な存在だ。  本来ならば、自分を庇護してくれるはずの相手から虐待――しかも性的な――を受けたとあっては、その後の深月の生活に様々な弊害が出るのも当たり前じゃないか。 (クソ養父(おや)が)  考えただけで腹が立つ。  中学生と言えば、心も身体もまだまだ未熟で多感な頃だ。  そんな時期に逃げ場のない家の中、絶対的権力者である保護者から無理矢理蹂躙(じゅうりん)され、支配された深月の気持ちを思うといたたまれない。  勃起不全になったと言うのにもうなずけた。  なのに――。 (私の手の中で、あの子はちゃんと()けたんだよな……)  そう思うと、何とも言えない優越感と達成感に満たされるとか……自分も大概最低な大人だなと思って。  年上の男に傷つけられたことがある深月に対して、それこそ思いっきりカテゴリーに入るであろう私が劣情(こんな想い)を抱くのは何とも申し訳ないし後ろめたいではないか。 (許されねぇ感情だ……)  咲江(さきえ)に先立たれて以来、久しく感じたことのない淫情(よく)が身体の奥で(くす)ぶっているのが、何とも居心地悪い。
/380ページ

最初のコメントを投稿しよう!

688人が本棚に入れています
本棚に追加