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その穢れを濯ぎ清めたいみたいに、わざと水にした冷たいシャワー。それが身体を打つ痛いくらいの感触を、まるで滝行をする修験者のような気分で行っていると言ったら咲江は笑うだろうか。
妻に先立たれて五年。
あえて亡き妻に対して操立てをしてきたつもりはないけれど、いいなと思った相手でさえも『抱きたい』とまで思うには至らなかった。
それこそ運よく相手からお誘いを受けてでさえも、何だか気乗りしなくてのらりくらりと躱してきたのだ。
とはいえ、もちろん私だっていい歳をした大人の男だ。他人と肌を触れ合わせるのが億劫だからと言って、別に性欲自体が枯れているわけじゃない。
抱く相手が居なくても、生理的に溜まるものは溜まるから。
結局一人で〝抜く〟ことで解消していたのだけれど、こんなに人肌が恋しくて雄芯が昂ったのは本当に久々のことだった。
深月が、私に責め立てられて達くのが怖いと怯えていたように、私は私で久々の感覚に戸惑っていたと言ったらあの子はどう思うだろう。
「あー、くそっ!」
私の中のあさましい劣情は、水垢離くらいでは払い落せないらしい。
先ほど風呂場で深月の可愛い雄を握ってやった感触が、手のひらにまざまざと思い出されて……。
ついでに泣きそうな目をしてそんな私を鏡越しに見つめていた深月の色っぽい顔までもが脳裏によみがえってきた私は、途端元気に存在を主張してきた下腹部に吐息を落とした。
率直に言って、俺は深月を抱きたい──。
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