687人が本棚に入れています
本棚に追加
15.熱に浮かされて【Side:十六夜 深月】
「今日は疲れたろ? ゆっくり休めよ、深月。おやすみ」
将継さんがお風呂から出て来て、(またまた至れり尽くせりなことに)僕の髪をドライヤーで優しく梳くように乾かしてくれて目を細めて微睡んでしまった後、寝支度をしてそう言葉を掛けられたのは二十三時近くだっただろうか。
将継さんの隣の部屋に入って日向の匂いがする布団に一度は包まったのだけれど、どうしても確かめたいことがあって半身を起こす。
(僕……本当に治ったのかな?)
先程、十数年ぶりに勃ち上がった己の身体が治ったのかどうかが気になってしまって、確かめてみようと思ったのだ。
万が一にでも布団を汚してしまわないように、畳の上に座り込んで座卓の上に置かれていたボックスティッシュからペーパーを数枚取り出して。
スウェットのズボンと下着を膝まで下ろして、まだ柔らかいままの(はっきり言って未熟と呼べる)牡の印をそっと指で握りしめてみる。
(さっき将継さんに触れられて簡単に勃ち上がったからきっと治ったはず……? 最近試してなかったし……)
期待を込めて握りしめたそれを、先刻風呂場でそうされたことを思い出しながら指でゆっくり上下に擦り付けてみたのだけれど――。
快楽を感じるどころか少しも反応しない……。
(何で……? 治ったんじゃなかったの? 一時的に治っただけ?)
あの温かで節高の指で握りしめられた感触を思い出しながら懸命に指を擦りつけてみるけれど、全く勃ち上がる気配もなく諦めて下着とスウェットを再び身に着ける。
(やっぱり僕の病気は治らないのか……)
深く嘆息しながら再び布団に潜り込もうとしたけれど、やはり治っていないという失意に呑まれると全く眠れそうになくて。
あれこれ考えていたら悲しくなってきて、とりあえず手を洗おうと、誰もいないリビングをくぐりキッチンで手を洗わせてもらった。
このままでは眠れそうになくて、ふと冷蔵庫に視線を転じる。
(お酒とか、あるかな?)
最初のコメントを投稿しよう!