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「ああ、大丈夫だ、と即答してぇところだが……割とマズイかも知んねぇ。……ホント、不甲斐なくて悪ーんだけど……朝食やら昼食やらは店屋物でも取ってくれるか?」
もちろん、コンビニやスーパーへ買いに行くのでも一向に構わないと思ったんだが、私のせいで深月を買い物に行かせるのも申し訳ない気がして。
「そんなの……気にしないで下さい。……僕だって子供じゃないんですから、その辺は何とかできます。……えっと……それより将継さんこそ……何か食べたいものとか欲しいものとかありませんか? つ、作るのは難しいですけど……色々買ってくることは出来ます」
真剣に問い掛けてくる深月を熱に浮かされた頭でぼんやりと見上げて……「そりゃぁ作るって言われたら危なっかしくておちおち寝てらんねぇな」とつぶやいてから、私は思わずククッと笑ってしまって。
「……ま、将継さんの意地悪……!」
深月をちょっぴり拗ねさせてしまった。
「悪かったよ、深月。その……ホントに頼っちまっても構わねぇの? 熱を出した私は相当甘えたになるし……結構面倒臭いよ?」
ケホッと咳が出て、『ああ、喉痛ぇな』とか『鼻詰まって来たな』とかぼんやり思いながら冗談めかして笑ったら、「将継さんが望むなら『あーん』だってして……あげ、ます、よ?」と深月がしどろもどろで言ってくる。
(――マジか!)
そう思った私が、「そいつぁー楽しみだ」とニヤリと笑って見せたら、「……ま、任せて下さい」と耳まで真っ赤にした深月が言い切ってくれて。
さすがにそこまで深月に頼る気はないが……その気概が嬉しいなと思った私は、深月に向かってポツンとつぶやいた。
「なぁ深月……。早速で悪いんだけど……玉子粥とソーダ味のアイスが食いてぇ……」
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