悠斗と夏樹#14

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悠斗と夏樹#14

「えっ!?兄さんの子じゃなかった?」 悠斗のお腹の子が安定期に入った為、夏樹の実家である橘家に妊娠の報告に行った所、夏樹の両親から意外な事を聞かされる事になった。 春樹の浮気相手の産んだ子供が春樹の子供では無かったと言うのだ。 「どうも行きずりのアルファとヒートを過ごして妊娠が解ったけど、父親のアルファを探し出せなかったから、近場にいた春樹を騙して父親だと思わせたみたいなのよ」 「そんなこと出来るんですか?」 「それがね、一緒にお酒を飲んでて途中の記憶が無くて、気が付いたら二人でベッドで裸で寝てたんですって!どうも睡眠薬で眠らせて、起きた時に最中の記憶が無いのはラットを起こしてたせいだって思い込まされてたらしいのよ」 「しかも記憶が無くなるくらいの激しいラットになったのは自分たちが“運命の番”だからって言われて信じちゃったみたいなの」 「でも月足らずで産まれたにしては4000グラム近くあったらしくて、計算も合わなくてDNA鑑定をしてみたら春樹との親子関係は認められなかったらしいのよ!」 夏樹の母親は興奮状態だったが父親は別の事が気になるようだった。 「悠斗くんのお腹の子供は間違いなく夏樹の…」 夏樹は父親に最後まで言わせなかった。 「当たり前じゃないですか!悠斗さんと僕は正式な番ですよ!父さんでもそんな事言うのは許せません。」 「確かに春樹さんの子供がそんな事になって心配されるお父様のお気持ちは解ります。俺はやましい事は何一つありませんのでDNA鑑定でも何でも受けますよ。今は妊娠中でも検査できると聞きますし。」 「悠斗さんでもお腹の赤ちゃんになにかあったら…」 「そうよ悠斗さん、赤ちゃんに何かあったら大変でしょう!お父さん、こんなにはっきり悠斗さんは言いきれるんですもの悠斗さんのお腹の子供は大丈夫よ!二人は正式な番なんですもの」 番のいるオメガは番以外のアルファと性行為を行うと拒絶反応を起こして、最悪そのショックで死に至る場合もあるのだ。 夏樹の番である悠斗が夏樹以外のアルファの子供を身籠る可能性はありえないのだ。 「確かにそれはそうだったな…」 夏樹の父親も番である夏樹と悠斗との間の子供の事は信じる事にしたようだった。 「それで、産まれた赤ちゃんはどうなったんですか?」 オメガである悠斗にとっては父親のわからないオメガの産んだ子の事が気がかりだった。
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