それを運命と呼ぶのなら

尚斗と聡#6

今回の件で尚斗は謹慎処分を受けた。

真琴の名誉の為に、何が起きたが公になる事は無かったが、校内で不純な行為に及ぼうとしていた事はお咎め無しにはできなかったのだ。

悠斗と和馬の婚約は解消される事となった。
それはそうだろう、何しろ目の前で婚約者が他のオメガと浮気していたのだ。
それに恐らくだが和馬は婚約を解消するために、悠斗の浮気の証拠を探していたのだから。

処分が明けて数週間ぶりに登校した和馬の耳に入ってきたのは、真琴がオメガ専門の高校に転校したという話題だった。

自分の仕出かしたことが一人の年若いオメガの運命を狂わせてしまったかもしれない…。
今までバレなかったから事なきを得ていたが、バレた時の事を悠斗は一度深く考えた事が無かった。

バレたとしても反省したフリをして謝れば許してもらえる。
美しい悠斗が愁いを含んだ顔で反省の色を見せればまわりの人間はたいていの事は許してくれていた。

だが悠斗がやってきたことは、バレた時にアルファである自分よりオメガである相手の方に多大なる被害を与える。
悠斗は今回の事でその事実に初めて気が付いたのだ。