7、グランシャリオと甘い夜

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「…優希ちゃん」 「…だ、だから…その、っ」  その乱れた花束は、無事に受け取ってもらえることを信じて、もう一度想いを告げようとした時。 「うん、それは知ってるよ」 「…はい?」  待て待て待て待て、ちょっと待て。 「じゃぁ、どうして急に?」 「確認したかっただけ」  このタイミングで、至って真面目に言って退ける。  忘れていたが、この人は物凄く自由人で超絶マイペースだった。  大きく溜め息を吐き、自分は呆れながらその真相を尋ねる。 「…知りたかったことは、確認できましたか?」 「うーん、どうだろう」  そう言いながら、彼は嬉しそうに組んだ両手を私の肩に乗せて、こちらを引き寄せる。  どんなに振り回されて呆れても、この瞳にイタズラに見つめられただけで許してしまうのは、すっかり彼に骨抜きにされているということなのだろうか。 「…もう、何でも聞いてください」 「投げやりだね」  小さく笑いを溢す彼は、楽しげに口の端を持ち上げて問いかけた。 「ここ一ヶ月お預けを喰らってたからさ、目茶苦茶にするけど良いよね?」 「めっ!?」  信じがたい言葉が飛び出し、一人慌てる自分。  そんな私を、変わらず愉快そうに上から眺める夏目さん。 「だって、優希ちゃんは俺が大好きなんだもんね?」 「だ、大好きだなんて言ってません!そ、それに、私初めてなんですよ?」 「じゃぁ、尚更忘れられない夜にしよう。俺以外目に写らないくらいね」  目が笑っていない上に、その台詞は怖すぎる。 「ま、待って」 「怯えなくても大丈夫だよ」 「…それもそうですけど、…本当にここでするんですか?」  顔を近づけてくる彼の口を両手で塞ぎ、自分は先程から気になっていた小さな不安を漏らす。 「まぁ、それは確かに」 「友達がいるのに、ここでってなんか…、お、親がいるのにしてるみたいで…って、自分から招いておいてすみません」  発端を正せば、勢いに任せてここまで来てしまった自分が悪い。だが、気になったら何とかしないと気が済まない性格なため、ムードを壊している自覚はありながらも問いただしてしまう。  
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