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「これは――」
そこには見覚えのある香水とメッセージカードが入っていた。
――けーちゃんへ。
本当は誕生日プレゼントで渡そうと思ってたんけど、すっかり遅くなってごめんね。
ずっと一緒にいたのに私って案外けーちゃんの好きな物、知らないんだなって思って……。だからあの日、カレシの誕生日プレゼントを買うなんてウソをついてけーちゃんのことを連れ出したの。上手く聞き出せたかはわかんないけど、気に入ってくれると嬉しいな。
それじゃあ、行ってきます。
P.S.ちゃんと仲直りしたいので、卒業式で待っています。波瑠――
そしてカードに添えられていたのは波瑠に渡したはずの俺の合鍵だった。
心が痛かった。だけど、その真っ直ぐさは波瑠らしいと思った。きっと俺と仲直りするまでは受け取れないと波瑠はそう思っているんだろう。
波瑠も俺と同じで後悔をしている。このままでいいはずがないんだ。
会いたい気持ちに蓋をして俺は卒業式まで辛抱強く待った。波瑠へ連絡することもせず、ただその日だけをずっと待ち続けた。
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