結婚報告

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結婚報告

私と葵さんが隣り合って座り、向かいには兄が座る。 私たちは机を挟んで向かい合っていた。 今日は結婚報告のため、2人で兄の家を訪れていた。 いつものぽやっとした姿からは一変。 先ほどから、兄はむっつりとした顔で黙り込んでいる。 「……ということで……私たち、結婚することになりました」 私の言葉に、兄が顔を上げる。 「……葵さん」 重々しく呼ばれた名前に、私まで思わず居住まいを正す。 「貴方には、この先何があっても天音を守り、添い遂げる……その覚悟がありますか?」 葵さんは、真剣な表情で口を開いた。 「もちろん。 俺は天音を愛し続ける。そして陸斗と鈴……家族全員を守り、幸せにする。 この先の人生をかけて誓うよ」 「……そうですか。貴方の気持ちは分かりました」 兄は何度か頷いた後に顔を伏せる。 「お兄ちゃん……?」 再び黙り込んでしまった兄に、声をかける。 その肩は小刻みに震えていて。 次に顔を上げた兄の瞳からは、たくさんの涙が溢れていた。 「……もうダメだぁ……」 蛇口が決壊したような大号泣にギョッとする。 「あまねぇぇぇ……幸せになるんだぞぉぉぉぉ……!」 けれどすぐに、それが兄の祝福の証なのだと気づいた。 「ありがとう……お兄ちゃん」
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