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結局、みんなでお揃いのカチューシャを購入した。
私と鈴ちゃんのカチューシャには、女の子ver.としてリボンがついている。
こういうところに来るの、いつぶりだろう。
確か高校の校外学習で来たのが最後だったっけ。
「これはね、りーくんも乗れるやつなんだよ。
楽しみだね」
「りく、たくさん乗る!」
鈴ちゃんと陸斗は手を繋いで、楽しそうに次のアトラクションに向かう。
「ふふ、2人ともすごいはしゃいでる」
「陸斗は来るのが今日が初めてで、鈴ももっと小さい頃に一度来たきりだからな。
きっと今夜はぐっすりだろ」
私たちも手を繋ぎながら、その後を追いかけていく。
こうして見ると、本当の姉弟みたい。
鈴ちゃんは進んで陸斗のお世話をして、陸斗もとても鈴ちゃんに懐いている。
「仲のいい姉弟ですね」そう声をかけられることも多かった。
「お誕生日おめでとうございまーす!」
キャストさんのそばを通りかかると、溌剌とした声が届く。
周りにいた他のお客さんの数人からも、「おめでとう」の言葉がかけられた。
入り口で貰って、胸元に貼りつけた誕生日シールのおかげだろう。
「ありがとうございます」
少し照れくさいけれど、周囲の温かさに嬉しくなる。
そんな私のことを、葵さんが優しい瞳で見つめていた。
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