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了承を得て、私は鈴ちゃんの隣に座った。
そしてスミレさんの「お話」とやらを聞くことにする。
「あの日再会した後……私色々考えたの。
やっぱり鈴にはお母さんが必要なんじゃないか……家族が離れ離れになったのは、
間違いだったんじゃないか……って」
「私、ずっと後悔していたの。
私は間違いをおかして、鈴を手放さなければならなかった。
でも心の底では、ずっとずっと……鈴に会いたいって思ってた」
「だからあの日、偶然でも鈴に会えたことが嬉しかった。
大きくなった鈴の姿を見れるなんて、夢みたいだった。
それで、この先も……鈴の成長を見ていきたいって思ったの……」
……はあ……?
思わず、そんな声が漏れそうになる。
要するに、スミレさんはもう一度鈴ちゃんと一緒に暮らしたい。
そういう話をしにきたようだ。
……でも。私は吹き出した疑問をそのまま声に出す。
「……そもそも、彼氏さんとはどうなったんですか?
この間結婚するって言ってましたよね」
「……別れたのよ。あいつは嘘つきで……運命の人でも何でもなかった!」
スミレさんはそう吐き捨てながら、腹立たしげに髪の毛をかき乱す。
「だからね、やっぱり私には鈴や葵……2人が必要だって気づいたの」
……何それ……。
彼氏とダメになったから、今度はこっち。
そう言ってるようにしか聞こえなかった。
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