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その日の夜は、鈴ちゃんの希望によって、私たちの寝室にみんなで一緒に眠ることになった。
鈴ちゃんと陸斗を真ん中にして、私と葵さんはそれぞれの両端に寝転がる。
普段葵さんと2人で眠る分には広すぎるくらいのベッドだけど、4人で寝るとなるとそれなりに窮屈だ。
でも、みんなでピッタリとくっついて「ちょっとせまいね」と笑い合う時間は、私たちに安心感と幸福をもたらしてくれたのだった。
はじめに眠ったのは陸斗だった。
みんなで一緒に眠れることが嬉しい陸斗は、保育園で今日はどんなことをしたのか、拙い言葉でテンション高めに話し続けていた。
しかし隣にいる葵さんに頭を撫でられているうちに、コテンと眠りに落ちた。
「あ、りーくん寝たよ」
「そうだね」
「あのね、明日は学校でね……」
鈴ちゃんと少し声をひそめながらお喋りをする。
しかし私は内心で、今日のことが気がかりだった。
実母……スミレさんについて、この間はさっぱりと切り替えた様子だったけれど、
今日は目の前であんな姿を見せられたのだ。
鈴ちゃんが何を思ったのか。
それは、心の疲労になり得ないだろうか。
話が途切れて、一瞬の沈黙の後。
「あのね……私、今日ね……」
少し様子の変わった鈴ちゃんの切り出した、次の言葉を待ち構える。
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