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おめかしをした陸斗と鈴ちゃんが、係の人に誘導されてバージンロードを歩いてくる。
その手には、大事そうに持った2人でひとつのリングピロー。
2人には、リングボーイ・ガールを頼んでいたのだ。
「どうぞ!」
緊張で少し顔が強張った陸斗と鈴ちゃん。
差し出されたそれを受け取って、心を込めて言う。
「2人とも……ありがとう」
そして、お互いの左手に指輪をつけた。
薬指に光る、結婚の証。
私たちに向けて、牧師が言う。
「それでは、誓いのキスを」
葵さんが、私のベールをそっと持ち上げるのを合図に目を閉じた。
唇が優しく触れ合う。
目を開けば、愛おしげに私を見て微笑む葵さんがいた。
ああ。目の前のこの人が、たまらなく愛おしくて涙が出そうだ。
2人で誓約書に署名をして、私たちの結婚は今ここに成立した。
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