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「体調はどう?
辛いとこないか?」
「うん、平気。今日は本当に調子がいいみたい」
「それならよかった。何かあったらすぐ言えよ」
鈴と陸斗が寝た後の静かな夜。
葵さんと私はソファに並んで座っていた。
私の体調が良い時は、こうして2人で夜を過ごすのが定番だった。
もし男の子だったら、女の子だったら、どんな名前にしようか。
そんなことを話し合って、葵さんが「決められない」と何十種類もの名前を考えてくるのに笑って。
お腹の中で育っていくこの子を一緒に見守っている。
「……あ、今動いたかも」
ポコっと、内側が軽く跳ねるような感覚。
時期的にも、そろそろ胎動が始まってもいい頃だ。
「お、どれどれ?」
葵さんはソファからおりて、私の前に跪く。
そして私のお腹に耳を当てた。
「おお……ちっちゃくだけど確かに動いてるな」
「これからもっと動きも大きくなってくるよ」
葵さんがお腹に向かって声をかける。
「おーい、パパだぞー。
これからもっと大きくなって、元気に生まれてこいよー」
その声が聞こえているみたいに、ポコっと一回大きく動いて。
「こいつは将来有望だな」
「ふふ、確かに」
葵さんと一緒に笑い合った。
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