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「待たせてごめん。でも、天音が生まれた今日この日に言いたかった。
……最大限にカッコ付けさせてくれって言っただろ?」
「……本当に、私でいいの……?」
尋ねる私の声は震えていた。
「天音がいい。天音じゃないと駄目だ。
俺の気持ちは変わらない。お前と陸斗と……みんなで家族になりたい。
……天音は?」
「……私、私も葵さんじゃなきゃだめ……!
貴方と夫婦になって、みんなで家族になりたいです……!」
葵さんがケースを手に取り、中の指輪を取り出す。
「……左手出して」
差し出した左手の薬指に、指輪がはまる。
サイズはぴったりだった。
「似合ってる」
指元で光る輝きに目を落とすと、涙が溢れた。
「……うれしい……」
嬉しくて嬉しくてたまらない。
泣き笑いのような表情で言えば、葵さんに強く抱きしめられた。
「……俺も、すげぇ嬉しい」
お互いに、こうなることを待ち望んでいた。
目を合わせて、おでこ、頬、鼻先。葵さんから、キスの雨が降り注ぐ。
そして唇。重ね合わせて、また重ねる。
「一生、幸せにします」
「こっちの台詞だ」
世界一の夜を迎える幸せに、2人で微笑み合った。
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