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「…そんなに神様とか好きだったっけ?」
「格好良いの!……ちょっと待って…これ!ジャ~ン♪」
と言って、シャシャっと指を滑らせたあと見せたスマホ画面には、滑らかな線で描かれた 美形で勇ましいヤマトタケルがある。
「ん…そりゃ惚れるわ。」
「でしょ?」
「でもさ…」と言って ちょっと遠くを見るような目で言葉を繋いだ
「実際、生きてたらゴツいよ。」
「え?」
「だってさぁ、昔なら硬いもの食べて、顎 発達してるし。いっぱい歩いてて、脚だって太いって。」
カラン、と炭酸水の氷が鳴ったのを、祖母に手を引かれて入店した幼子の はしゃぐ声が掻き消した。
半分ほど飲んだ炭酸水の気泡を見ながら呟く。
「……浪漫は大事。」
その仕草と表情を、頬杖をついて見ていた。
「浪漫って…。見た目の想像は自由でしょ。ってか、みんなも想像でしかないし。ヤマトタケルとオトタチバナヒメが実在したとしたら、遠い昔に生きた人の恋愛を語り継がれてるだけで 凄い浪漫だと思うよ?」
ハッと顔を上げて、見つめていた炭酸水を飲んで ハァと息をついて、
「だよね。」と嬉しそうに答えた。
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