藍合傘

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藍合傘

雨の降る夕方の空は藍色に見える。 夕方、と言うよりは夜の始まりとでも言うのだろうか。 「空きれー」 そうつぶやき、傘の奥の空を見上げる。 「この色、ちょっと悲しそうじゃない?」 「一日の終わりって感じがして私は好きですよ」 軽く笑いながら話してみる。 「なんか一日の終わりに反省中的な?」 ふっと笑う先輩に「そうじゃないです!」と返した。 「じゃあどんな感じ?」 「なんだろ……なんか一日の終わりに今日一日あんなこととかこんなことがあったな、って思い返す感じですかね。ちょっと趣深い感じの。」 「古典以外で趣深いって言う人初めて見た」 「私結構使いますよ?」 「そう?」 「趣深いってなんかよくないですか? 胸がなんかキュッて締め付けられる感じがあって。」 「大丈夫?」 「正常です」 特に好きな人と見る空は趣深いだけじゃ収めきれなくて。 とても趣深い、になって。 胸がキュッと締め付けられる程度じゃなくて。 「朝焼けとか夕焼けの綺麗な景色を見てる時に、心の中にいる相手が自分にとっての大切な人なんだって。この前読んだ小説に書いてあった。」 先輩は言う。 それなら私は誰を浮かべて、 「先輩は誰を思い浮かべますか?」
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