45.とある弁護士side

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45.とある弁護士side

 それから急いで病院に向かった。  御子息の診察をしてくださった医者によると極度の栄養失調と病気を患っているとのことだ。  幸いなことに命には問題なく回復が見込めるとのこと。 「早めに処置できて良かった」 「は、早めに……ですか?」 「ええ、このまま放っておけば最悪死んでいましたよ?」  そういって私を見つめてくる医師。  その視線から彼の言いたいことが分かった。  だが同時に疑問が湧き上がってくる。  医師は早めに処置できた、と言った。  御子息があのような状態になって一年は経つ。  ただの考え過ぎなだけだろうか?   「先生、私が子供を保護できたのは偶然なのです。とても酷い状態で……この子は何時からこのような状態だったのか憶測もできません」   「あの子供の状態から考えますと、恐らく一ヶ月ほどは酷い状態に置かれていた可能性が高いです」 「い、一ヶ月!?」   「驚かれるのも無理はありません。本当に運が良かった。これが後、一ヶ月続いていたら確実に死んでいたでしょう」  医師の言葉に別の意味で驚愕した。  なにしろ、御子息が虐待を受けていたのは一ヶ月などではない。  だが医師の言葉では普通の幼児は二ヶ月と持たずに亡くなると言うではないか。  ならば生き残っている御子息は一体……。  御子息には魔力がない。  命の危機に陥ればあるいは魔力が目覚める場合もある。限りなく低い可能性だが、エラ嬢がそれだ。だが、御子息には残念ながら魔力が目覚める事はなかった。まぁ、元々ないのだから目覚めるも何もないのだが。それにしても妙だ。生き残れない状態にいながら生き残った御子息。これの意味するところは何なんだ?  もしや、魔力を持たない代わりに別の力を持っているのではないか?  だからあの悲惨な環境下でも生き延びれたのではないか?  例えば生命力が異常に強いとか、体があり得ない程に丈夫とかなら説明が付く。だがこれはあくまで憶測に過ぎない。今はまだ考える時では無いだろう。   「とにかく今はゆっくり休ませてあげてください。それと何かありましたらまたこちらへ連絡をお願いします」   「わかりました。ありがとうございます」  私は医師に礼を言うと息子を連れて帰宅することにした。  後日、御子息の親権はライアン様に移り、エラ嬢は別の館に住まわされたそうだ。  
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