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エピローグ
三年たった。
俺は高校を卒業し、障碍者養護施設で働くようになった。
みふゆは就労支援でイラスト制作の仕事をしている。
あいかわらず、生データを打ち込むあの独特なやり方だ。
みはるも来年に高校卒業だ。美容関係の専門学校に行く予定だが、本当に何をやりたいかは、みはる自身よくわかっていない。時間をかけて、ゆっくり探せばいいと思う。技術があることはその邪魔にならない。
どこにも晒していないが、みふゆのコスプレ画像は増え続けている。
みはるの事件以来封印していたのだが、一年ほど前に再開した。
衣装も増えた。俺も撮り方を勉強したり、カメラを買ったりしている。
撮影のとき、ポーズや表情の指示をだす。
言葉は通じたり通じなかったり。あっさり無視されることもあるし、みふゆを困らせることもある。
そうして、俺自身が少しずつ学んでいけばいいのだと思う。
十代の間、ずっと見えないふりをしてきた、みふゆとの向き合い方を。
いつかコスプレイベントにも参加したいし、できるならみふゆを、その界隈で知られた存在にしたい。
もちろん、みふゆと話し合って、彼女がそう望むならだ。
時間はある。
どれだけ時間をかけても、気持ちを伝えあえる関係になりたい。
いずれ結婚するのだと思う。
周りの誰もがそう思っているし、みふゆもそれを望んでくれている。
だから本当に、時間はたっぷりあるのだ。
手を取り合って、二人にあったペースで、歩いていければいい。
幸せに向かって?
そうではない。
二人で踏み出す一歩一歩を、笑顔と喜びで満たすのだ。
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