ダブルブースト

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新太郎は悩みに悩んだあげく、記憶の部分に人工知能を取り付けた。 理由は簡単で、昔から記憶する勉強が苦手だったからだ。脳に取り付けた人工知能が勝手に記憶してくれる。そして膨大なデータが常に整理してあり、必要になればいつでも取り出せるのだ。将来認知症にならないだろう。 もちろん同じ考えの人間は沢山いる。学力に差が出づらくなった。 しかしながら何に関しても、「個体差」というものがある。同じように作られたとしても、それぞれが少しずつ違う。そしてその中には「不良品」と言えるものも存在する。 新太郎自身の人工知能は問題無かったが、友人の一人がその「不良品」だったようで、取り付けたのち効果が出たのは一時的で、その後はおかしな言動を繰り返すようになった。みるみるうちに太っていき、人相も性格すらも変わってしまった。 人工知能は電源こそ要らないものの、パソコンなどと同じでエネルギーを沢山使う。もちろんそれは食事から摂取するのだが、その循環すら崩壊してしまったようだ。 いつしか友人は国が用意した施設に収容され、その後のことは知らない。
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