ダブルブースト

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翼は神経伝達を司る部分に人工知能をつけることに決めた。元々運動神経はいいのだが、注目を浴びるような華々しい成績までは手が届いていない。やはり憧れである。 もちろん同じような人間は沢山いる。そうなると人工知能の個体差もさることながら、元々のポテンシャルが関わってくる。 大学の友人の新太郎は既に移植を済ませた。選考していないが、苦手科目だった社会科に興味が湧いたと言っていた。一度覚えたことを忘れなくなったようで、歴史が楽しいことに気がついたと笑いながら話していた。 そんな新太郎を傍で感じていた翼は移植が楽しみだった。新しい自分が手に入る。そう疑わなかった。 手術はものの1時間程で終了した。特に変わった感じはない。しいて言えば、体が軽くなった気がするくらい。 疑問を感じながらも陸上競技の練習をしてみると、その効果が惜しげも無く発揮された。自己新記録はいとも簡単に更新され、その後も成績は伸び続けて行った。 人工知能を「そこ」につけていない選手は置いていかれ、いわゆる超人達だけの大会に変わってしまった。 改めて人工知能の凄さを痛感した。
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