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「愛してる」
「ありがとうございます。お手伝いできることはありますか?」
これでいいんだ。
結局答えなんて返ってこない。きっと答えは、俺の中にある。なんて、ありきたりなアンサーだけど。
ぽちぽちとキーボードを打つ。部屋にキータッチの音がカタカタと響く。送信ボタンを押す。
「好きな人を見つける方法を教えて」
数秒で返事は来る。
「好きな人を見つける方法ですね。まず、好きな人を探すために行動に移すことが大切です。以下にその方法をいくつか挙げます……」
文字がずらずらと表示されるのを目で追いながら、これでいいんだと俺は思う。
ただ表示されるだけの「愛」に何の意味がある?
このままでいい。AIに「愛してる」なんて言われなくても、俺は。
「ありがとうございます」
「いいえ。また頼ってくださいね。他にお手伝いできることはありますか?」
スマホを閉じ、そして伸びをする。
「サークルでも入るかぁ〜!」
指は「〇〇大学 サークル」と文字を打ち込む。すぐにサイトがヒットした。わくわくした気持ちでサイトを開く。
「……可愛い子、いるかな」
ぼそりとつぶやいたその言葉は、部屋の空気に溶け込んでいった。
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