1. 秋のキャンプ

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1. 秋のキャンプ

 友達を探して、随分森の奥まで来てしまった。俺はすでに泣き出したいくらいなのに、メグは全く焦る様子もなく、鬱蒼と繁る木々と雑草に囲まれた細い道を進んでいく。どこからか鳥や獣の鳴き声が聴こえて、夜の闇と相まって不安と恐怖を一層煽る。 「俺、クレアを傷つけるつもりなんてなかったんだ」  ただ焦っていただけだった。魔が刺してあんなことを言ってしまったけれど、今となっては後悔しかない。 「知ってるわ、本当に悪意があって言ったんじゃないって。みんな分かってるはずよ」  メグの言葉に安心して、堪えていた涙が溢れ出した。 「どうしよう……もしクレアに何かあったら、俺のせいだ。俺が……」 「オーシャン、大丈夫よ」  メグが俺の肩にそっと手を置く。 「彼女は見つかるわ」
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