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終わりまであと五分。
アンナがわざと通りがかりに、ティファニーが紙皿に作っておいたドレッシングに肩をぶつけて地面に落としたのを見た。
「あら、ごめん」と本人はヘラヘラしている。
「おい、何すんだ!!」
怒りのあまり叫ぶ。
「人が一生懸命作ったものを台無しにするなんて、最低よ!」
アレックスも続く。クレアとエイヴェリーは離れた場所で作業していなかったから、見えていなかったようだ。
「ごめんって謝ったでしょ? 何なのよ……みんなして責めて」
アンナが嘘泣きを始め、皆の注目が集まる。「おいおい、何揉めてんだ?」と担任がやってくるが、「何でもないです」と毅然とティファニーが答えた。
「いいよオーシャン、アレックス。もう一回作るから」
そう言って仕切り直して、終了間際にドレッシングを作り終えたティファニーは、それを素早くサラダにかけた。
終了のホイッスルが鳴る。
先生たちの味見が始まる。最後が俺たちの班だ。緊張が高まる。
「ティファニー、よくやった」
肩を叩くと、ティファニーは泣き出しそうな顔で俯いた。
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