ねぇ

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 ニキさんは、ニニカさんとの最初のデートが好きだった。それは、「パンにはバター」と同じくらい、絶対であったのです。 「ねぇニニカ」 「はい、ニキ。なあに」 「今日は君に、話があるんだ」 「何かしら」  すると、ニキさんは 「ちょっと待って」  と言って、少し私のそばを離れました。冷蔵庫を開けて、水を一杯飲んでいるようです。  なるほど、ニキさんは少し話しすぎたかもしれません。生きていくため、私にバッテリーが必要なように、ニキさんには水が必要なのです。なお人間の7割は、水でできています。  そのようなことを分析していたら、ニキさんが戻ってきました。  私の上のニニカさんを見つめて、ふっとため息をつきました。 「あのね、ニニカ」 「はい、ニキ。なあに」 「話というのはね。実は……好きな人ができたんだ」 「そうですか」 「うん。実は、少し前から付き合っている」 「そうですか」  あら、違います。  「そうですか」ではなく、「そうなのね」と、言うべきところです。ニニカさんならば。  急に、ニニカさんの言葉遣いでなくなってしまいました。エラーを修正します。 「そう……そうなのね」
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