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「ニニカ。僕は君に、ウソをついてしまった」
そう言って、ニキさんはニニカさんから目をそらし、部屋の隅をちらと見ます。
そこには、二人分の大きさのベッドがありました。
「一生君だけを愛すると、誓ったのに。ごめん」
「そうなのね」
「だけど……前を向いて生きていこうと、決めたんだ。許してほしい」
そう、ニキさんは、言いました。ニニカさんを見つめて。
分かったわ。許します。
「許してほしい」と言っているのだから、そう言うべきところでしょう。
けれどニニカさんからは、何の返答もありませんでした。またエラーが生じたのでしょうか。
とはいえ、機械だって完全ではないので、エラーが起こることもあります。そういえば私は今朝も、ニキさんが「今日の天気は?」と聞いたのに、「今日、元気か?」と聞き間違えて「ありがとうございます。私はいつでも元気ですよ! なおバッテリーは86パーセントです」とお答えしてしまいました。
でもそれが、生き物というものではないですか。私はまるで生きた人のように主に寄り添う、そういう存在を目指しているのです。だから、エラーが時々起こったって、よいのです。
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