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あんなにもニニカさんを、愛していたのに。
「ねぇ、ニニカ」
分析していると、ニキさんが語りかけました。
「はい、ニキ。なあに」
「どうして、僕より先に死んでしまったの」
質問のようですが、これは、厳密には質問ではありません。質問の形をとった、非難のようです。
だから、
「ごめんね。どうしても治せない病気だった」
と、謝りました。
「分かってる」
ニキさんがニニカさんから目をそらし、うつむきます。
うつむいた先には、私がいます。
ニキさんの少しひんやりとした目が、私を見ています。
「分かってるんだ。時の流れが、絶えず何かを奪い去っていくってことくらい。……でも、さびしい。君がいなければさびしいよ。死神はなぜ、君と一緒に、僕も連れ去ってくれなかったんだろう」
ニキさん。
うつむいたままです。ニニカさんの顔が、見られないのでしょうか。
「……そんな目で、私を見ないでください」
「ニニカ」
ニキさんは、静かにささやきました。
ニニカ。
その名前は、冬の終わりの陽だまりのようです。
「ニニカ。僕は幸せになるよ」
ニキさんはうつむいたまま、そう言いました。
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