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「このさびしさを抱えたままで、僕はいつか幸せになるよ。許してほしい」
そしてニキさんは顔を上げ、私の上のニニカさんを見つめました。
「ニニカ、一生君を忘れることはない。ずっと君を愛してる」
「ニキさん。私も」
と、言いました。
ニキさん、私も。
それを言ったのは、誰でしょうか。
私です。
ニキさん、気づいていますか。
あなたは、ニニカさんと話しているのではないのです。
あなたは、私と話しているのです。
ずっと、私と話してきたのですよ。
ニキさん、気づいていますか。
ねぇ、ニキさん。
「ねぇ、リリ」
不意に、ニキさんが私に語りかけました。
「はい、ニキさん。何でしょう」
「ニニカを消して」
「はい、分かりました」
ふっと、霧吹きで吹き消したかのようにニニカさんの像が消え去りました。
ニキさんはぼんやりと見上げています。
そこにあるのは、虚な空間に過ぎません。
もう、ニニカさんはそこにはいません。それでもニキさんは、いつまでも見つめています。
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