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しばらく経って、ニキさんはそのまま背もたれにもたれかかり、目を閉じました。すると、まぶたの隙間から、涙がしみ出てきました。
「ふっ」
とニキさんから声がします。それは笑い声のようです。でもニキさんは今、泣いています。
こんな時、人間ならどうするのでしょう。
ニニカさんならば、どうするのでしょう。
ニキさんの悲しみは、どうすれば消えるのでしょうか。
ああ、思い出しました。
ニニカさんが、まだこの部屋にいた頃のことです。その頃はもう、余命が、つまりニニカさんがこの世を去る日が、決まっていました。
ニキさんが一人泣いていると、ニニカさんがニキさんに近づいて、こう言ったのでした。
「泣かないで。あなたはもう一人じゃないから」
私は、そう言ってみました。
すると、私の体がまた光りました。ニキさんの顔が、一瞬だけ明るく照らされます。
「ありがとう……」
いつの間にかニキさんは、肩をゆっくりと上下させながら、眠っていました。すう、すう、と、ニキさんの寝息が聞こえてきます。
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