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バタン
咲良ちゃんはトイレのドアを開け個室に入っていった。まさか個室の中を覗くことは出来ない。わたしはヒヤヒヤしながら外で待った。10分くらいしてからだろうか、ドアが開いた。
「あれ、千秋ちゃん、どしたの?」
「心配でさ、待ってたんだよ」
「そう、さっきは原田くんがいたから言えなかったんだけど、女の子の日なの」
えっ、そうなの? AIロボットにもそんな日があるの?わたしは首を捻った。
「咲良ちゃんにもあるの?」
「そりゃあ、17歳だもん。普通だよ。普通」
背中をバンと叩かれて我に返る。ヤバい。わたしにはAIロボットだってことバレてないと思ってるんだ。
「そうだよね、アハハ」
「アハハ、千秋ちゃんって可笑しい」
わたしたちはお腹を抱えるようにして笑った。暫く笑った後に咲良ちゃんが急に真剣な顔をした。
「実はさ、本当の友達なんていないと思ってたけど、千秋ちゃんだったら秘密が話せそうな気がする」
「えっ」
まさかAIロボットだってことの告白じゃあ。いきなり言われたらどんな顔をしていいのか解らない。
「わたしね、過食っぽいの」
「えっ、過食って?」
「ストレスでたくさん食べちゃうの。特に女の子の日は凄いみたい。昨日なんかここで隠れてハンバーガー食べちゃった。でも恥ずかしいでしょ。内緒にしててお願い」
なんだ、てっきりAIロボットだと。そんなことを想像してた自分の方が恥ずかしい。
「気にすることないよ。わたしも食べるの付き合ってあげるから、みんなで一緒に食べよう」
「おお、嬉しい言葉」
咲良ちゃんはわたしの肩を抱いた。やっぱり柔らかい体だった。AIロボットだなんてゴメンなさい。でも親友は親友。ずっと仲良しでいようね。
終わり
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