運命の闘技

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「これからもずっと同じなんだよ!!ずっとそうだったんだよ!!」 「だから二人で変えていこうよ!!」 「嫌だよ……もう死にたいんだ。もう疲れちゃったんだよ。ずっと……ずっとメンタルプロテクトをしていたのに……貴方がそれを解いてしまうから!!」 「ごめんよ……だから楽になるように……」 「だから!!死ぬことが一番楽なんだよユーリ!!愛してるなら殺してよ!!」 涙を流し、叫んで願う。自分の責務はユーリしかいないと信じているから、その強さを証明して欲しかった。 クジュンはその光景を見て涙を流していた。 「お兄さまの術で解かれてしまったんですね。竜術凶眼で……」 「それは……?」 「あらゆる術式をその眼で打ち消してしまう。銀竜の種族だけが取得できる竜術ですわ。でもあれを取得するには……想像も出来ないほど過酷な修行をした者のみ。恐らく生まれてからずっと修行していたのですね。だから……ベスカリアの術式さえ解いてしまった」 「……クシュラが術式で保っていた精神保護を解いてしまい、クシュラの奥底にある願望を解き放ってしまったのか」 「えぇ……だからもうお姉さまは死ぬ事しか考えていません。あの眼を使えるだけの修行した彼ならもうその力で充分証明していますわ。だからその彼に楽にしてほしいのです」
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