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「帰ってきたらなんて言えば比較的に大人しくしてくれるかな」
「その場で殺してしまうかもしれませんわ」
「だよなぁ……あぁ胃が痛い」
ヴィエラも長い髪をほどき、クジュンの横で一緒に金色の髪をとかし始める。
「結局連絡がこないや。明日覚悟してもう寝るよ。クジュンも明日は大変だから早く寝ないとな」
「……ねぇヴィエラ?」
「なんだ?」
「貴女は結婚相手など探さないの?」
「あぁ?そうだな……したかったけど、もういいかな」
「……まだ十年前の彼を忘れないの?」
「……そう、なのかな」
「もう、いいのではなくて?新しい相手を探すといいかもしれませんよ」
鏡で自分を見つめると、過去を思い出している表情は寂しそうだった。
その横顔はクジュンにとってはもっと寂しく見えるのだろう。
「貴女は幸せになっていいのよ。いつまでも過去の事に縛られてはだめですわ」
「お前はどうなんだクジュン?八十年以上も生きていい男はいなかったのか?」
「いませんわ。私を満足させてくれる男はいなかった。みんな私を好きになろうとしませんでしたもの。人間も竜族も」
「もったいねぇな、こんなに可愛くて頼りになるけど 時々おっちょこちょい。女の子の可愛いとこ全部持ってるのに。それに八十過ぎてるのに十代のような容姿と肌。羨ましいよ全く」
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