彼女はクシュラ！

婚約者

「手紙……？お父様から？」

両手いっぱいの買い物袋を門番に渡すとその手紙を受け取るクジュン。

「……開けますわ」

「開けちゃだめですよクジュン様！また怒られてしまいます！」

「あら、そんなのゾクゾクしますわ。想像しただけで身体火照ってしまいますね」

お構い無しに開けてしまうクジュン。

(そうだ、クジュン様。クシュラ様に対してはドMだった)

クジュンはクシュラの妹であり、クシュラが大好き過ぎるシスコンドラゴン。
怒られようが、ぶん殴られようが全てを愛に変換する。

しかし、手紙を読んでいる彼女の手は次第に震え始めた。
目付きは悪くなり、怒りが煮えくりかえるような形相となる。

「ク、クジュン様……？」

「ふざけんじゃねぇ……ふざけんな！！」

言葉使いが急に悪くなったかと思うと手紙が一瞬にして溶けて無くなってしまった。ドロドロと流れでる黒い液体は桟橋に付着した時それを溶かしてしまう。

「ひぇ？！クジュン様落ち着いてください！」

「黙れ！！」

一気に機嫌の悪くなったクジュンは指先から液体を垂らしながら城内へと入って行ってしまった。

買い物袋はそのまま持たせたままにして。