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しばらくしてその存在に気がついた。顔を合わせると小さく手を振った。
「来てたのねヴィエラ。居たなら声をかけて。恥ずかしい顔を見られてしまいましたわ」
「みんな心配してたぞ?手紙を読んだら怒り狂っていたって。床とか溶かしちゃって……どうした?」
そっと側に寄ると頭を撫でるヴィエラ。
彼女はヴィエラ大隊を指揮する軍のNo.2。クシュラの次に権力を持つ優秀な軍人。人間でありながらクシュラと渡り合える程の魔術と体術を兼ね備えた。ベスカリアの戦乙女である。
「手紙……中身はどんなだったんだ?お前が怒り狂う程の事なんだろ?」
「……お姉さまに」
「……うん」
「お姉さまに結婚相手を見つけたから婿に迎え入れなさいって……そう書かれていましたの」
「……クシュラにか?!そりゃお前……また急な話だなおい。」
「お父様の話ですから……逆らえません。ですが……あんまりですわ……私のクシュラお姉さまを……そんなの急に」
顔を俯かせてまた泣いてしまうクジュン。彼女にとってクシュラは単に姉という存在ではなかった。唯一自分の大切な、心に温かみをくれ、辛い時も彼女だけに頼ってきた。
でも何故そこまで異常な執着心を抱くのかは誰も聞く事はできない。
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