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「なぁ、そんなに落ち込まなくてもいいじゃないか?姉妹だから奪われる訳じゃないだろ?」
「嫌よ……お姉さまは私だけのもの。愛してるから……嫌なのよ……」
歪んだ愛を正すことは他人には難しい。彼女を慰めてあげるには下手な言葉をかけてはいけないのであろう。長年共に過ごしたヴィエラでもなかなかかけてあげられる言葉は見つからない。
「クジュン……とりあえず見合いは止められないんだ。来てもらって様子を見るしかない。いつくるんだ?」
「……明日って書いてありましたわ」
「明日ってお前……明日までにクシュラが帰ってくるか分からないし、それにいきなり何て陛下にも準備があるだろうが!」
「そうえばお姉さま、まだ遠征から帰ってきませんわね。何をそんなに時間がかかっているのかしら?」
「……はぁ。とりあえず陛下に話をしてくる。明日の何時来るか分からないからな」
そう言って足早に去っていくヴィエラ。
今日一日はかなり忙しくなりそうだ。
陛下にまずは報告に向かった。
クジュンの失態を当たり障りがないように伝え、クシュロブ皇帝の手紙の事とその内容を報告。
ベスカリア王はため息をつきながら、その内容を理解する。
「全く……皇帝殿はなんと突然な。まぁ……昔からそうだが」
「して、いかがなさいますか陛下」
「大臣、とりあえず給仕に料理の支度を。そして召し使い長のナーナに城を綺麗にしてくれと」
「すぐに手配します」
「全く……あとはクシュラか。どう思うヴィエラよ」
「……かなり荒れると思われます」
「だろうな……対応を頼んだぞ。そなたが唯一の適任者だ」
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