婚約者

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大臣はナーナという者の場所へと向かう。他の召し使いに話を聞き、兵舎へ向かっているとの事だった。 とにかく広い城を十分程かけて到着したが、大臣はもう汗をかいて疲れた様子だ。 着いたかと思えば、中から女の子の叫ぶ声。 「んもぉぉ!!きたない!!」 中に入ると指揮棒を振り回しながら、何かを魔術で操る小さい女の子。操っていたのは何本もの掃除用具。雑巾やモップが一人でに動いていた。 「ナーナ、ちょっといいかな?」 「なに!あたち忙しいのよ!見てよこんなに汚い!!」 「いやぁ……いつもありがとうねナーナ。だけど、やってもらいたい事があるんだよいいかな?」 明日の事を説明して城全体の掃除を頼む大臣。すると可愛らしい顔つきのナーナの顔が物凄く嫌そうな顔になってしまった。 「ふ、ふざけないでよ!!そんなの出来ると思ってるのあたちに!」 「できると思ってるからお願いしてるんだよぉ。頼むよナーナちゃん。終わったら好きなだけデザートあげるから」 「……じゃああたちマルクおばさんのケーキ食べたい」 「いいよー。どれくらい?」 「……お店のぜんぶ」 「ひ、ひぇ……流石にそれは困っちゃうよぉ」 「じゃあやらない!!やりたくない!!もうやらないから!!」 「わ、わかったよ何とかするからさ!許してよナーナ」 「じゃあビルナおじさんのクッキー100枚追加でね!!」 とにかくお菓子とケーキが大好きなナーナはその高いか安いか分からない報酬で受けてくれる事になった。実際の所はナーナにとっては雑作もない事。ナーナの魔術はあらゆる物を操れる能力である。
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