センセイの最適解

「今回もよくできました。この問３については、このように回答できるとさらに良かったですね」

　柔らかい口調、耳触りの良い声質、安心感を与える笑顔、親しみやすい雰囲気を持っているセンセイからテストの返却をされている児童たち。

　みんなの表情からは、満足のいく点数だった充実感と次はもっと頑張ろうという意欲が感じ取れる。

「いいですね。あなたは見たものを正確に描く能力が高い。これからもその能力を伸ばして、芸術に携わるような仕事を目指しましょう」

　児童たちは、キラキラした目で自らの可能性に期待をし、センセイを見つめる。

　20XX年、少子化に歯止めが効かなかった日本は国際的な競争力を失った。そのため、再び高いレベルで戦える人材を育てるべく、一部の私立小学校を除き、小学校を全て国立化し、市町村や県ではなく国が一律に運営することとした。

　貴重な子どもたちに対して個性に合わせた教育スタイルを提供し、その子どもの持っている能力を最大限に発揮できる分野に導いていくことが重要だと決定し、それを国が管理するスタイルに変換したのだ。