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物語の始まり
「芳子社長! 早く行かないと新幹線に乗り遅れちゃいますよ!」
「今行く」
これからする話は、わたしが中学二年生の頃の話である。あれから十年経って、あの頃下した決断は間違っていなかったと、つくづく思う。
十年前のわたしは、それはもう酷いという言葉しか当てはまらないような人間だった。
小学校入学前、親戚が集まって開かれた入学祝い。呟かれた言葉は「赤ん坊の頃は、美人になると思ったんだけどねぇ」。
中学に上がり、廊下の端を歩いているのにぶつかられ、去り際に吐かれる言葉は「どけよデブ」。
そう。わたしはブスでデブなのである。
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