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藍(悩み多きお年頃)
眩しい……。そして美しい。
ライトに照らされ輝く彼の笑顔は、暖かな太陽の光を浴びて咲いた花。
ホールいっぱいに響き渡る音粒たちが、彼の身体を撫でては流れていく。
彼は全身でリズムを刻み、しなやかな動きでステージ上を舞う。
ラストの3曲は、メンバー全員、黒を基調にした衣装。
襟の形や、ジャケットの裾の長さ、襟や肩などに施されたシルバースタッズの位置や形、
デザインがそれぞれ違うといった感じだ。
ジャケットの襟の縁に光沢のある濃いグレーのライン、
ラメの入ったグレーのインナー。
胸元でシルバーのシンプルなネックレスが揺れている――
そんな彼の衣装は、メンバーの中では一番地味だ。
『キラキラ王道』は気恥ずかしいと思っているに違いない彼らしい。
派手な衣装など着なくとも、彼は彼自身が輝いているのだから、無闇な装飾など無用だ。
……と、藍は思う。
…ああ、美しい。
自分はこの日の為に、一年間頑張って来たと言っても過言ではない。
この曲がラストだ。
また次の一年を頑張る原動力。
だから、しっかり目に焼き付けて…………
…………
――いきなり、彼の麗しい姿の輪郭がぼやけて、曖昧になった。
そして美しい顔は、突然 “ のっぺらぼう ” に変身した――
……ん???……
何が起きた??…………
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