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「助けていただいてありがとうございます。あの……いっしょに居らした方にもご挨拶したいんですが……」
「ああ、中にいるよ。良かったら顔を見せてやって。サークルのみんなも心配してたんだよ」
どこかのんびりと喋る様子は少し可愛らしい。
魅力的な人だけど、彼女はいるんだろうか。
「みんなー、この間の子が来てくれたよ」
彼が部室のドアを開けて中に声を掛けると、数人の男女が一斉に飛び出してきた。
「クスリ使われてたって聞いたけど、もう大丈夫なの?」
その中に居たとびきりの美女が心配そうにこちらを見る。
多分あの男から私を引き離してくれたのはこの人だ。
「はい。対応が早かったのが良かったそうで……本当にありがとうございます。これ、気持ちばかりなんですがよろしければ皆さんで」
親から持たされた数種類の菓子折りを渡すと、彼らははにかんだように笑う。
「気にしなくていいのに。ええと……あかりさんだっけ? 須藤がそう呼んでたわよね」
「あっ、すみません名前も名乗らなくて。文学部1年の星野明里です」
慌てて名乗ると、目の前の美女は艶やかに微笑む。
ふわふわしたタイプではないけれど、さっぱりとした爽やかさに目を奪われた。
「私は天文サークル副部長で、文学部3年の鷺宮玲香よ。たまたま同じ店で飲んでたんだけど、アイツ悪い噂のあるヤツだったから様子見てたの。靖彦くんが気付いてくれて良かった」
屈託なく笑うところもかっこいい。
サラサラのロングヘアが笑うたびに揺れる。
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