初恋との出会い

5/6
前へ
/38ページ
次へ
「助けていただいてありがとうございます。あの……いっしょに居らした方にもご挨拶したいんですが……」 「ああ、中にいるよ。良かったら顔を見せてやって。サークルのみんなも心配してたんだよ」 どこかのんびりと喋る様子は少し可愛らしい。 魅力的な人だけど、彼女はいるんだろうか。 「みんなー、この間の子が来てくれたよ」 彼が部室のドアを開けて中に声を掛けると、数人の男女が一斉に飛び出してきた。 「クスリ使われてたって聞いたけど、もう大丈夫なの?」 その中に居たとびきりの美女が心配そうにこちらを見る。 多分あの男から私を引き離してくれたのはこの人だ。 「はい。対応が早かったのが良かったそうで……本当にありがとうございます。これ、気持ちばかりなんですがよろしければ皆さんで」 親から持たされた数種類の菓子折りを渡すと、彼らははにかんだように笑う。 「気にしなくていいのに。ええと……あかりさんだっけ? 須藤がそう呼んでたわよね」 「あっ、すみません名前も名乗らなくて。文学部1年の星野明里です」 慌てて名乗ると、目の前の美女は艶やかに微笑む。 ふわふわしたタイプではないけれど、さっぱりとした爽やかさに目を奪われた。 「私は天文サークル副部長で、文学部3年の鷺宮玲香(さぎみやれいか)よ。たまたま同じ店で飲んでたんだけど、アイツ悪い噂のあるヤツだったから様子見てたの。靖彦くんが気付いてくれて良かった」 屈託なく笑うところもかっこいい。 サラサラのロングヘアが笑うたびに揺れる。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加