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しかしだからといって大学に入ったばかりのイベントサークルの集まりで、名前も知らない男に騙されて飲めないお酒を飲まされた挙げ句に持ち帰られるいわれはないはずだ。
情けなくて涙が出てくる。
涙の意味を取り違えているのか、はたまたわざととぼけているのか、男は身体を寄せてきた。
「そんなに具合悪いの? じゃあ、どっか休める所に連れて行ってあげるね」
親切ぶっているけどジュースだと言ってこの男が私に渡した飲み物は、多分酒だったのだろう。
抵抗したいのに目が回って、どうにも上手くいかない。
「はなし……て……」
「えー、離したら倒れちゃうって。大丈夫、俺がちゃんと介抱してあげる。たっぷりね」
舌がもつれて呂律の怪しい発音で断るが、下心丸出しの男は興奮した様子で返してきた。
私を立ち上がらせて支えるように身体を密着させ、腰の辺りに腕を回すと、既に存在を主張している下半身を押し付けてくる。
「明里ちゃんキレイだよね。俺、タイプだな」
「いや……っ!」
下卑た笑いを浮かべて、男は力ずくで店の外に私を連れ出そうとしていた。
このままでは路地裏あたりに連れ込まれて、ヤラれる。
そうでなくてもホテル直行だ。
突き放したいのに力が上手く入らない。
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